胃下垂ってご存知ですか?
友人の兄が胃下垂で、痩せの大食いだったので、胃下垂っていくら食べても太らない羨ましい病気なのかな、なんて思っていた時期もありました。
実際のところはどうなのか、調べてみた結果をお伝えしていきたいと思います。
胃下垂とは?なる原因って何ですか?
胃下垂というのは、胃が正常な位置より下まで垂れ下がっている状態を言います。
胃の上部の位置は変わらないまま、下部分がだらりと伸びてしまい、重症の場合は骨盤まで下がってしまいます。
胃下垂になる原因は、本当のところはまだ解明されていませんが、原因となっていると思われる説がいくつかあります。そのいくつかを以下でご紹介しますと、
- 生まれつきの体質
- 腹部を支える筋肉の機能が低下した結果
- 生活習慣の乱れにより胃腸などの消化器に悪影響があった結果
- ストレスによって自律神経が乱れ胃腸に負担がかかった結果
- ホルモンバランスの乱れにより胃の負担が重くなった結果
- 猫背や反り腰などの姿勢の悪さにより骨盤が歪んでしまった結果
- 噛む回数が少ないため、消化不良により胃の負担が重くなった結果
- 側弯症、漏斗胸などの胸の骨の変形により、他の内臓が圧迫された結果
など。
男性より女性の方がなりやすいとされています。
また、子供は腹筋などの腹部を支える筋肉が弱いために胃下垂である事が多いですが、成長するに従って筋力が自然と上がる事によって解消される事が多いので、治療は行わない事がほとんどです。
胃下垂の特徴やデメリットは?
胃下垂の人が羨ましいと思っている方(筆者もでしたが)、ちょっと待って下さい。
胃下垂の特徴とデメリットを聞くと、仮に胃下垂になればヤセ体質になるとしても、胃下垂になりたいなんて気持ちはなくなります。
胃下垂になりやすいの人の特徴について、ヘルスケア大学で紹介されている一部引用させていただきますと、
胃下垂の人の特徴
- 幼少の頃から痩せている
- 痩せの大食い
- 長身で細身体型
- 腰回りは細いが、下腹がぽっこりしている
- 食後、胃より下腹のほうがふくらんでしまう
胃下垂の症状とデメリット
- 食後胃がもたれる
- 食べてもすぐ満腹になって完食出来ない
- よくお腹が張る
- みぞおちあたりが痛む
- 胸焼けや吐き気がする事が多い
- ゲップやおならがよく出る
- 便秘や下痢などの消化不良が多い
- 肌荒れが起こりやすい
外見的な特徴だと、一見羨ましく見えるのですが、お腹だけぽっこり出ているのは辛いですし、何より、健康面でのデメリットが大きいです。
胃のもたれや膨満感は我慢できても、吐き気やゲップやおならを始終耐えるのは辛いですし、ゲップやおならが人前で出てしまったら更に辛いです。
腸のお掃除機能が上手く働かないのも不健康で、更に肌荒れまでするのでは、痩せていても綺麗じゃないという事になってしまいます。
胃下垂なのかを自分でチェックする方法
胃下垂は、無自覚でなっている事もあります。胃下垂かどうかをセルフチェックする方法をご紹介します。
前の項で挙げました「外見の特徴」「健康面での特徴」が複数当てはまる人は、胃下垂の可能性があります。
また、食後に簡単にチェックする方法もあります。
- 食後に仰向けに横になる。
- 手のひらでお腹に触ってみる。
この時、胸のすぐ下のみぞおちがふくらんでいる人は、胃が正常な位置にあるので問題ありません。
おへそ、あるいは更に下の部分にある人は、胃下垂の可能性がとても高いです。
ただ、素人判断は危険ですので、最終的な判断は、胃腸科で診療を受けて確認しましょう。
胃下垂の人は太らないって本当?
最後に、「胃下垂の人は太らない」という説について調べてみました。
実際のところ、胃下垂と太らない体質の間には、明確な因果関係は認められていません。
胃下垂になると痩せる、というよりは、痩せている人が胃下垂になりやすい、というのが正しい説のようです。
ただ、痩せていても、しっかり運動をして腹筋を鍛えている人は、胃下垂になりにくいです。
胃は、その周辺の脂肪と筋肉によって支えられているので、腹部に脂肪がついている人=太っている人も胃下垂になりにくいです。
なので、胃下垂の人はほとんどの場合痩せているので、胃下垂=痩せる、という説が生まれたのではないかと思います。
胃下垂の症状の1つである「食べ物を正常に消化できず、栄養を吸収する事が出来ない」事により太りにくくなる、という要因もありますが、良い栄養も吸収する事が出来ないのです。
基礎代謝が高い事によって太りにくい体質になっているのと違い、胃下垂によって太りにくくなっているのは健康的とはとても言えません。
まとめ
痩せの大食いと言うのは、太りたくない、でもいっぱい色々食べたい、という人には憧れのワードですが、それなら、胃下垂を目指すのではなく、運動によって基礎代謝を上げたり、バランスのとれた食事をしたりする事で、痩せ体質を目指しましょう。
胃下垂は憧れるような病気ではないので、自分が胃下垂かと思ったら、胃腸科で診療を受け、適切な治療をするようにしましょう。