耳掃除が趣味だ、という人はよくいますね。
お風呂上がりに綿棒は欠かせないとか、数種類の耳掃除グッズを使い分けているとか。
でも、耳掃除ってあまりしょっちゅうやってはいけないものなのをご存知ですか?
今回はその理由について、耳掃除の主役「耳垢」や、正しい耳掃除の方法について、いろいろ調べた結果をお伝えしていきます。
耳垢とは?その役割は?
耳垢というのは文字通り「耳」の「垢(あか)」です。耳の中の外耳道の耳垢腺から出る分泌物と耳から出た老廃物、それに耳の中に入った埃やゴミなどが混ざり合ったものです。
耳垢には2つのタイプがあり、1つは「乾性耳垢」別名「こな耳」、乾いたタイプの耳垢で、もう1つは「湿性耳垢」別名「べた耳」または「猫耳」、湿ったタイプの耳垢です。
遺伝で言うと、優性遺伝するのは「湿性耳垢」で劣性遺伝するのは「乾性耳垢」なのですが、日本人では何故か劣勢である「乾性耳垢」タイプの人が多いです。
また、体臭がきつい人には「湿性耳垢」の人が多いのですが、湿性耳垢になるのも体臭がきつくなるのも、同じ「アポクリン腺」という汗を分泌する汗腺の1つから出る汗が多い事に起因するからです。
耳垢はゴミなのだから取り除いて清潔にしなければならない、という事で、神経質な人ほど頻繁に耳掃除を行なう傾向がありますが、実はこれはNGです。
なぜなら、耳垢には大切な役割があるからです。
- 外耳の保護:細菌や埃や虫などが耳から侵入するのを阻止すると共に、外耳の皮膚を保護する
- 抗菌作用:耳から入る細菌を殺菌する
という、耳の健康を守るために、とても大切な働きです。
耳垢が多い原因は?
耳垢が多くなる原因としては、以下のものが考えられます。
- 耳掃除をしすぎた結果、皮膚を傷つけ、傷ついた部分の皮膚が剥がれて耳垢になる
- チリや埃の多い環境から耳を保護するため
耳垢が多くなっているのは病気にかかっているからではないか、と思いがちですが、現在のところ、耳垢が多くなる病気というものはありません。
ただし、耳垢が多い事によって引き起こされる耳の病気はいくつかあります。
耳垢栓塞(せんそく)という病気がそれで、耳垢が異常に増えた結果、耳の穴を完全に塞いでしまうために、耳の不調(難聴や耳鳴りなど)を起こします。
こうした症状が現れた時は、丁寧に耳垢を取り除くようにします。固まってしまって自分ではうまく取れない場合、うっかり耳垢を耳の奥に押し込んでしまって症状を悪化させてしまう場合もありますので、耳鼻咽喉科で診療を受け、耳垢を取り除いてもらうのが安全です。
耳垢が臭いのは病気のサイン?
元々「湿性耳垢」の人は「乾性耳垢」の人より耳垢が臭いのが特徴ですが、前はそんな事はなかったのに、急激に耳垢が臭くなった場合、何らかの体調不良を発している場合があります。
耳垢または耳の中が臭くなる場合、考えられる原因のは、
- 元々の体質(湿性耳垢タイプ)でアポクリン腺から分泌される汗の量が多い
- 不潔にしている(入浴時に耳の周囲を洗っていないなど)
- 加齢によるもの
- バランスの取れていない食生活
- 生活習慣の乱れ
- 外耳にカビがついて繁殖し、炎症を起こした結果
耳垢または耳の中が臭くなる場合、考えられる病気は、
- 中耳炎
- 外耳炎
- 先天性耳瘻孔(じろうこう)
などなど。
どの病気も、耳の穴の周辺が赤く腫れ上がり、傷みを伴うのが特徴です。
耳垢かと思ったら、患部から出た膿だ、という事もありますので、耳の様子が普段と違うと思ったら、耳鼻咽喉科で診療を受けましょう。
正しい耳掃除の方法
最後に、正しい耳掃除の方法です。
本当に正しい耳掃除をしようと思うなら耳鼻咽喉科で専門医に掃除してもらうのがベストではあるのですが、中々そういう訳にもいきません。
耳鼻咽喉科の医者が推奨する耳掃除の方法は、
- 掃除するのは耳の入口から中1センチ以上まで。それ以上には深入りしない。
- 耳かきで耳の中をゴリゴリ引っかかず、優しく行なう。
- 綿棒で耳の中を掃除するのはNG。綿棒は耳の外側(外から見える部分)に使う。
- 耳かきや綿棒は常に清潔に保つようにする。
- 耳掃除は、2週間に1度程度にする。
です。
具体的には、
耳かきで耳の中1センチ範囲の耳垢を優しく掻き出し、外側は綿棒で撫でるように掃除をする。
というのが正しい耳掃除の方法です。
これはグッドデザイン賞も受賞した話題の耳かきです、耳穴にピッタリの形状で、耳穴に優しく滑りこみ3本のワイヤーで一度に大量の耳垢をかき出すことができます。
ワイヤーの弾力が余分な力を吸収し使い心地も抜群!!お子様にも安心してお使い頂けます。おじいちゃんおばあちゃんへのプレゼントにも最適♪
後書き
耳掃除は、お風呂上がり、綿棒でぐりぐり耳の中を奥まで掃除したくなりますが、それはNGです。
お風呂上がり、耳垢が柔らかくなっている時に掃除するのは良いのですが、綿棒を仲間で入れると、湿った耳垢を耳の奥に押し込む結果になってしまいます。
また、清潔にしたいからといって毎日のように耳掃除をするのは、前述したように、外耳の分泌腺を刺激したり傷をつけたりしてしまう恐れがあり、その結果、更に耳垢が増えて、気になるからまた掃除をする、という魔のスパイラルに陥ってしまいます。
ここはぐっと我慢して、2週間に1度、せいぜい10日に1度に抑えましょう。