くしゃみをすると、「噂されてるよ」と言う人が必ずいます。うまくはまれば会話が弾んで、その場が和みますよね。それに、根拠があるかのように今の時代も会話に使われる話しです。
今回は、くしゃみをすると、なぜ噂をされているのかを探っていきます。どうやら、古い時代に秘密がありそうです。どうぞ、おつきあいください。
くしゃみの原因は?何故くしゃみが出てしまうの?
くしゃみが出るのは、鼻の粘膜に取り付いた異物を排除しようとするためです。身体の防御システムの生理的な反応の一つですね。
体内では、次のようなことが起こっています。
アレルギーの反応
花粉やハウスダスト、動物の毛などの異物が鼻の中に侵入すると、マクロファージという細胞に食べられます。
そのマクロファージは、異物の情報をリンパ球に送って抗体を作成します。そして、次に侵入してくる異物の侵入に備えます。作られた抗体は、次から侵入してくる異物と結合します。
これらの動きによって、ヒスタミンという化学伝達物質が放出されます。今度は、そのヒスタミンが鼻の知覚神経を刺激します。その刺激が脳内に伝わって、くしゃみが出るというわけです。
風邪の初期症状、冷たい空気、香辛料などに対する反応
風邪の初期症状のくしゃみも、ウイルスの侵入に対する防御反応です。また、冷たい空気を吸ったり、香辛料を吸い込んだりした時に出るくしゃみも反射という防御反応です。
光くしゃみ反射
太陽をみていると、くしゃみが出ると聞いたことがありませんか?「光くしゃみ反射」と呼ばれるものです。これは、日本人の4人中1人に反応が出るとも言われています。
くしゃみをすると噂されているって、本当?由来は?
「くしゃみをすると噂されている」と言われるのは、くしゃみが何かを予兆するものと考えられたことからというのが有力です。
その説を支持する内容に、次のような話しがあります。
兼好法師の随筆『徒然草』に、「くさめ、くさめ」と、尼さんがくしゃみよけの呪文を口にするという文章があるというものです。
陰陽道の「休息万名急急如律令(くそくまんみょうにょりつれい)」を縮めたのが「くさめ、くさめ」となんだそうです。
このように、古い時代の日本では、「くしゃみをすると魂が抜けて寿命が縮まる」と忌み嫌われていていました。その名残、あるいは言い伝えの変遷で、「くしゃみをすると噂されている」と言うようになったという見方が一番しっくりきます。
そして、次のような図式が浮かびます。
悪い噂→念じられた人は病気になる。
風は万病のもと→重い病気に対する予防→悪い噂をされているということで示唆する。
また、「そう言えば」と思わされる心理的な面、くしゃみというコントロールできないものへの不吉性というのもプラス要素となっているという心理的分析もあります。
くしゃみの回数の意味は?
先ほどまでのような話しがさらに転じたのか、くしゃみをした時に噂されるのは悪いことばかりではないようです。また、くしゃみの回数でも意味が変わってきます。しかも、地域差もあるようですね。
くしゃみが
1回なら良い噂をされている
2回なら悪い噂をされている
4回以上は風邪の症状であると言われるのがだいたい共通しているところです。
でも、くしゃみが3回ならという時に、内容が違うことが多いというのも面白いところです。もっと悪い噂をされているという場合もあれば、誰かに惚れられているという場合もあります。
ことわざのようになっていたり、地域の伝承のようになっていたりするものには、次のような言葉がありあます。
「一そしり、二笑い、三惚れ、四風邪」
「一に褒められ、二にふられ、三に惚れられ、四に風邪」
まとめ
今の時代においては、くしゃみは身体の反応であるということは誰もが知ることなのですが、古い時代では「くしゃみ」は恐れられていたようです。それで呪文として、「くさめ、くさめ」と唱えるようになったというのは多くの記述から伺えます。
今も「くしゃみをすると噂されている」と言われるのは、会話の種になるからということもあるでしょう。
また、噂をされていそうな人、あるいは誰かが恋心を抱いていそうな人に向けられる「言葉」という側面もあります。良い噂があるといいですね。