口唇ヘルペスを発症した事がある人は結構多いのではないでしょうか。
「風邪の華」「熱の華」なんて呼び名もあります。口の周りが赤くなって華が咲いたように見える事からついた呼び名ですが、風流な呼び名に反して、痛いし辛い病気です。
そんな口唇ヘルペスについて、今回は取り上げてみます。
口唇ヘルペスとはどんな病気?
口唇ヘルペスと言うのは、皮膚が単純ヘルペスウイルスに感染する事によって起こる感染症です。正式名称は単純疱疹と言います。
発症すると患部に水ぶくれが出来て、それが潰れるまでとても痛みます。また、水ぶくれにはウイルスが詰まっているので、そこから他者に感染させてしまう事も多いです。
今回取り上げるのは口唇ヘルペスですが、発症する部位によって、性器に出来るものは陰部ヘルペスまたは性器ヘルペスと言い、総合して単純疱疹という病名がつきます。
帯状疱疹と名前は似ていますが、帯状疱疹は水痘ウイルスの感染によって起こるので、症状も原因も違う別の病気です。
口唇ヘルペスを始めとした単純疱疹は、非常に感染力が強く、また一度感染すると完治する事はありません。
常に症状が出ている訳ではなく、風邪などで体調が悪く、病気への抵抗力が下がった時に発症する事が多いです。それゆえに「風邪の華」「熱の華」なのです。
感染力が非常に高いけれど、普段は潜伏しているため、症状が出たことがなくてもヘルペスウイルスを体の中に持っている人が多いです。日本人ではなんと7割がヘルペスのキャリアと言われています。
口唇ヘルペスの原因は?どうして再発するの?
口唇ヘルペスは、単純疱疹ウイルスに感染した時、または潜在していた単純疱疹ウイルスが顕在化した時に発症します。
原因とされているのは、
- 疲労がたまっている状態
- ストレスがたまっている状態
- 細菌やウイルスへの抵抗力が下がっている状態
- 風邪などのウイルスに感染した時
などで、同様の状況下で口内炎などが発症する場合もあります。
単純ヘルペスウイルスは一度感染すると、ウイルスは体内の神経節に潜り込み、一生そこに棲みついてしまうので、しばしば再発を繰り返します。
もし感染してしまった場合、早期に治療すること、人にうつさないこと、そして再発を予防していくことを心がけましょう。
口唇ヘルペスと口内炎との違いって何?
帯状疱疹と同様に、ヘルペスとごっちゃにされる事が多い病気に、「口内炎」と「口角炎」があります。勿論、どちらもヘルペスとは違う病気です。
ここでは特に口内炎との違いを、表で示してみます。
口唇ヘルペス | 口内炎 | |
原因 | 単純疱疹ウイルスに感染した場合に発症、または再発する。 | 口内の傷から細菌に感染・栄養不足。ウイルスが原因ではない。 |
見た目 | 患部が赤く腫れ上がってから水ぶくれが出来る。 | 患部に白いできものが出来る。 |
症状 | 我慢できないほどの強い痛みがある。発熱を伴う場合が多い。 | 強い痛みがある。 |
予後 | ウイルスは死滅しないので再発を繰り返す | また発症する場合があるが、同一のウイルスという訳ではない |
一見とても似ているように見えますが、口内炎のできものは水ぶくれとは違うので、水ぶくれが出来た時はほぼ間違いなく口唇ヘルペスと思って良いでしょう。
また、どちらも痛みがあるのは同じなのですが、口唇ヘルペスの痛みは、口内炎の痛みがパワーアップしたものです。
ただ、どちらも、発症する原因となるものは似ています。
再発を防ぐには?
繰り返しますが、単純疱疹のウイルスは、決して死滅しません。一度感染したら、症状が治まった後も、ウイルスは静かに体内で潜伏しているようになります。
ただ、再発を防止したり、再発した時の症状を和らげたりする方法はあります。
再発を防ぐには、前述した、ウイルスが発症しやすい原因となる環境を作らないようにしましょう。
具体的には、
- 睡眠をしっかりとり、心身の疲れを極力残さないようにする
- 規則正しい、健康的な生活を心がける
- 栄養バランスのとれた食生活を心がける
などです。
口唇ヘルペスを始めとした単純疱疹が発症するまでの流れは、
- 患部がピリピリ、ムズムズするといった違和感を覚える
- 違和感を覚えてから半日後位に患部が腫れ始める
- 腫れた部分が水ぶくれになる
というのが一般的ですが、1と2の段階で治療すれば、症状を軽めに抑える事が出来ますし、治りも早くなります。
診療するのは皮膚科ですので、ヘルペス?と思ったら、皮膚科で診療を受けるようにしましょう。
あとがき
口唇ヘルペスを始めとした単純疱疹は、完治する事はなく、とても簡単に感染してしまうという点で、とても怖い病気です。
症状が出た時は、常に患部を始めとした部分を清潔にするよう心がけ、食器やタオルを他の人と共有しないようにしましょう。
ただ、単純疱疹のウイルスは、ノロウイルスなどとは違って、食器は洗剤で洗えば除去できますし、タオルや衣類も洗濯後に日光に当てて干せば除菌できます。
発症している間は、適切な治療をしつつ体を休める事も大切ですが、マスクをしたり、他の人との接触を避けるようにしたりするなどして、二次災害を招かないように心がける事も大切です。