マーガリンと言うと、学校給食でパンに必ずついていたけれど、固いままのマーガリンの食感と味が苦手でこっそり捨てた、なんて罰当たりな記憶があります。
そのマーガリンが、ここ数年、危険性について騒がれています。海外では全面禁止という噂も。そして日本ではどういう対応なのか。
その辺りを、今回調べてみました。
マーガリンが海外では禁止される理由は?
マーガリンは危険な食品で海外では禁止されているニュース、耳にしたことはありませんか?
その理由は、マーガリンにはトランス脂肪酸が多く含まれているというわけです。
2013年の6月、アメリカ合衆国の食品医薬品局(FDA)が、一部の菓子類やマーガリンに含まれている「トランス脂肪酸」を、心臓疾患のリスクを高めるとして、使用を禁じると発表しました。
3年の猶予期間中は規制の対象とし、2018年6月以降は、全ての食品への添加を原則認めない、という事になっています。
世界保健機関(WHO)では、トランス脂肪酸の摂取を、総エネルギー摂取量の1%未満にするよう目標値を設定しています。
また、アメリカ合衆国以外の欧米諸国でも、トランス脂肪酸を含む食品へ、パッケージに含有量を明記するよう義務付けるなどの対策が進んでいます。
この記事から、現在段階的に規制が進み、2018年に全面的に禁止になるのは「マーガリン」ではなく「トランス脂肪酸」である事がわかります。
トランス脂肪酸とは?なぜ身体に悪いの?
脂質は、食品の三大栄養素の1つです。そして、脂肪酸というのは「脂質」を構成する成分です。
脂肪酸は大きく分類すると「飽和脂肪酸」「一価不飽和脂肪酸」「多価不飽和脂肪酸」に分類されますが、トランス脂肪酸は「不飽和脂肪酸」に当たります。
そのトランス脂肪酸には、体内の悪玉コレステロールを増やすばかりか、善玉コレステロールを減らす、という性質がある事が近年分かってきました。
2003年の世界保健機関(WHO)と国際連合食糧農業期間(FAO)の調査で、トランス脂肪酸の摂取と心臓疾患のリスク増加との強い関連の報告があり、それと共に摂取量を全カロリーの1%未満にするように勧告されています。
それに伴って、海外は勿論、日本でも、食品のトランス脂肪酸の含有量を減らす動きが高まりましたが、海外ほど厳しく規制を受けている状態ではありません。
日本農林省と日本マーガリン工業会の見解では、
- 日本人の食生活においては、トランス脂肪酸の摂取は欧米程ではないので、規制を強化しなければならないほどの脅威はない。
- 健康被害の恐れがあるとして規制する対象は、トランス脂肪酸もそうだが塩や脂質も問題である。
- トランス脂肪酸に限らず、過剰に摂取する事は健康被害の恐れがあるので、バランスの良い食生活を心がけよう。
という内容です。
特に国として規制は設けず、食品会社や個人個人の節度で対応するように、という事になりますね。2017年4月時点での話なので、今後その見解が変化する可能性はあります。
トランス脂肪酸の含有量の少ないマーガリンは?
日本では、トランス脂肪酸の含有量の表示が義務化されていませんが、多くの食品会社では表示をする、そしてトランス脂肪酸の添加を減らすように対策しています。
2018年にアメリカでトランス脂肪酸が全面的に禁止されるというニュースはかなり話題になったので、食品会社のホームページでもトランス脂肪酸についての説明ページを設けている事が増えたので、チェックしてみても良いかと思います。
トランス脂肪酸をどの程度までなら摂取してよいのかという基準ですが、グラムで言ってもわかりづらいと思います。
マーガリンの量で換算すると、トランス脂肪酸を3.0%以上含んでいるマーガリンをパンに塗って食べる場合は、大体5~7枚で限界値に達する、との事です。
最近はトランス脂肪酸の含有量が1.0%未満のマーガリンも多いです。有名なメーカーと商品ですと、
キューピー
キューピーの「いちご&マーガリン」「はちみつ&マーガリン」「ブルーベリー&マーガリン」など
小岩井乳業
小岩井乳業の「小岩井マーガリン発酵バター入り」「小岩井マーガリンヘルシータイプ」など
雪印
雪印「ネオソフト」「まるでバターのようなマーガリン」「ケーキ用マーガリン」などが挙げられます。
気になる場合は、パッケージを確認してみましょう。ほとんどの食品会社で記載しています。
マーガリンの代用になるものは?
危険なトランス脂肪酸の含有量を減らす事で、マーガリンの危険度はかなり下がったかと思います。
それでもあまりマーガリンを使いたくない、という方へ、代用になるものをご紹介します。
元々、マーガリンは、バターがとても高価だったので、それを安価で代用できるものとして生まれています。なので、その逆をすれば良いという事になります。
ただ、バターは動物性油脂、マーガリンは植物性油脂なので、成分が異なるため、風味が若干変わってきます。
バターの風味をマーガリンに求めるのは難しいですが、逆は問題ありません。
ただ、バターも油脂ですので、トランス脂肪酸は含まれていなくてもコレステロールは高くなります。安心して使いすぎないようにしましょう。
まとめ
怖いのはマーガリンではなくトランス脂肪酸、ではありますが、含有量を減らしていてもゼロではありませんし、トランス脂肪酸は多くの食品に含まれています。
マーガリンだけを控えていてもトランス脂肪酸を含むお菓子を大量に食べてしまうと大変な事になりますので、食品のパッケージを気にしつつ、バランスの良い食事を摂るように心がけましょう。