「喘息持ちでもないのに、咳がずっと続いているなあ」と思った時、それは、風邪ではなく、百日咳かもしれません。
百日咳は、放置して自然治癒に任せて良い、という訳ではない病気でもあります。
今回は、百日咳の実態、そして予防と対策方法などのいろいろをお伝えします。
百日咳ってどんな病気?人にうつるの?
百日咳と言うのは、百日咳菌が感染する事によって起こる病気です。
流行期は、春から夏にかけてですが、それ以外の季節に感染する事もあります。
感染力は、諸々の感染症の中でもかなり高いです。患者の周囲の人間が耐性を持っていない場合は、9割から10割感染するレベルです。
子供も大人も感染しますが、特に生後6ヶ月以内の乳児が感染した場合は劇症化する場合が多く、最悪の場合死に至ります。
ですので、乳幼児の混合ワクチンには、百日咳が必ず含まれています。
ただ、このワクチンは終身的に効果が続くものではなく、10年前後で抗体を失ってしまう事がほとんどですので、乳幼児の頃にワクチンを受けていても、思春期以降の少年少女や成人がかかるケースも多いのです。
大人の百日咳はどんな症状が現れるの?
百日咳の症状は、大人と子供では微妙に違います。
大人と子供、どちらも初期症状は風邪にとても似ていますが、子供が感染した場合、咳がどんどんひどくなり、やがてけいれんを伴う咳になります。
咳による呼吸困難も危険ですが、嘔吐を伴う場合もあります。そのために、お年寄りの誤嚥性肺炎と同様に、吐瀉物を気管に詰まらせた結果の窒息死を招いてしまう事もあります。
大人の場合は、子供が感染したときほど激しい症状が出ない事がほとんどです。
また、これは子供も同様なのですが、百日咳に感染した時は発熱を伴わないのです。
そのために感染している事に気付かずに周囲の人間に感染させてしまっていくので、子供の百日咳より大人の百日咳の方が厄介と言えます。
熱を伴わない咳が10日以上続いている場合は、百日咳を疑って、早めに診療を受ける事をお薦めします。
百日咳の治療方法は?自然治癒できる?
百日咳の治療には、一般には抗菌薬で菌を殺す、という形での服薬治療になります。
かかってから1~2週間の初期症状が出ている期間を「カタル期」と呼びますが、その頃に感染力も最も高いので、症状が軽いうちにきちんとした治療を受ける必要があります。
大人の場合は、体力のある人なら1~2ヶ月で自然治癒しますが、とても感染力の高い病気ですので、自分の回復状態より、他人に感染させる危険性を考えて、自然治癒に任せずに適切な治療を受けましょう。
百日咳の予防方法について
百日咳は、ワクチンを摂取する事で予防する事ができます。
ただ、前述の通り、ワクチンの効き目は10年前後でなくなってしまう場合が多いので、気になる場合は10年ごとに医師の判断を仰いだ上で摂取したほうが安全です。
また、生活習慣を整える事も予防につながります。
具体的には、
- バランスの取れた食生活
- 適度な運動
- 手洗い、うがいの励行
という、健康三原則のほか、
- エアコンの温度を下げすぎないようにする
- 流行期に人混みに出る時はマスクをする
- 心身にストレスを溜めない、疲れを残さないようにする
- 身近に患者がいる場合は、飛沫感染と接触感染に配慮する
などです。
特に、咳が継続的ではなく断続的に出る場合でも、人前に出る場合はマスクをするというエチケットを心がけましょう。
まとめ
百日咳は、大人がかかった場合、症状が軽いから自然に治るまでほっとこう、と思ってしまいがちですが、本当に恐ろしいほど感染力が高い病気です。
ワクチンを摂取している乳幼児がほとんどなので安心、という訳にはいきません。お年寄りに感染した場合も劇症化する事があるからです。
原因のよくわからない咳が続いている時は、百日咳を疑って、早めに医師の診察を受ける事を強くお薦めします。