健康に良い緑黄色野菜として知られている「ほうれん草」ですが、「シュウ酸」と呼ばれる物質が多く含まれることをご存知でしょうか?
実はほうれん草の独特のエグ味の正体は、「シュウ酸」です。
このシュウ酸は、体内でカルシウムや鉄分と結合し、結石を作り出して、「尿路結石」の原因となります。
そこで今回はほうれん草に含まれるシュウ酸について調べてみました!
ほうれん草に含まれるシュウ酸とは?含有量は?
シュウ酸とは植物が土の中のミネラル分を吸収するために作り出した成分です、植物の液胞に貯蔵され、カルシウムと結合することで体内のカルシウムバランスを保つことができます。
なので、すべての野菜類に含まれている成分と言えます。但し含有量においては違いがあります。
一番多く含まれているのはホウレンソウです、100gあたりのシュウ酸含有量は800㎎と断トツで多いです。
それ以外に多く含まれる野菜はキャベツとブロッコリーです、両方とも100gあたり300㎎のシュウ酸が含まれています。
そのほか、意外なものとしては、バナナ100gあたり500㎎、ココアの場合100gあたり623㎎になります。
シュウ酸は結石の原因になるって本当?
結石といえば「尿路結石」や「腎結石」などがあります。シュウ酸が結石となるのは主に「尿路結石」です。
尿路結石とは、尿中のミネラル(無機栄養素)などの成分が結びついて結晶化したもの。
特に多いのが、シュウ酸と尿中のカルシウムが結びついて結晶化した「シュウ酸カルシウム結石」というものです、全体の約8割を占めると言われています。
シュウ酸はカルシウムと結合しやすい性質があります。シュウ酸は腸のなかでカルシウムと結びつくと、便と一緒に身体の外に排泄されます。
しかしシュウ酸の量が多いと、余ったシュウ酸は尿の中に出てきて、尿の中のカルシウムと結合して、「シュウ酸カルシウム結石」という石のような塊となり、尿管を詰まらせ、「想像できない痛み」を引き起こしてしまうのです。
尿路結石は一度できると再発しやすい特徴があります。過去に尿管結石で苦しんだ方の再発率も高く、5年以内に半数ほどの方が再発しています。
市販されている一把のほうれん草は約250gです、普通に摂取するにはほぼ問題ありませんが、体調不良や更年期、加齢などで代謝が落ちると、シュウ酸の排出がうまくいかず、体内のカルシウムと結合して、結石になる可能性が高くなります。
茹でることでシュウ酸を除去!
ほうれん草を生で食べたときに感じるエグ味は、シュウ酸という成分です、このシュウ酸は「水溶性の物質」で、下茹ですることでほとんど流れ出てしまいます。
例えば、ホウレンソウは、3分間ゆでて水分を絞るおひたしにすることで、「シュウ酸の量を約半分に減らせる」という報告ありました。
また、前述したように、シュウ酸はカルシウムと結合しやすい性質があります、カルシウムといっしょにとることで、シュウ酸の体内への吸収を抑えられることができます。
これは腸の中で、シュウ酸とカルシウムが結合し、便とともに排出され、尿中のカルシウムと結晶化するのを防げるためです。
ゆでたほうれん草にカルシウムが多いチリメンジャコをかけたり、チーズやヨーグルトなどの乳製品と一緒に食べると良いでしょう。
後書き
日本人男性の7人に1人、女性の15人に1人が一度は「尿路結石」を経験したことがあると言われています。
その痛みは「痛みの王様」という名を持つほど激しくて、約半数の人が再発を繰り返すという厄介な病気。
健康に良い「ほうれん草」ですが、食べるときは下茹ですることを忘れないように、また食べ過ぎないように心がけましょう!